年齢を重ねても、いつまでも若々しい肌でいる人は、本当に素敵ですね。
気持ちは若いときとそんなに変わらないのに、シミ、たるみ、乾燥、シワなどを見つけると、何とかしたいと思うのは当然のこと。
では、具体的に、“エイジングケア化粧品”はどのように作用するのでしょうか?
エイジングケア化粧品の作用
一般的には、<抗シワ作用>や<抗酸化作用>を含んだ化粧品を、“エイジングケア化粧品”と呼ぶことが多いようです。
抗シワ作用は、文字通り、シワを改善し目立ちにくくする作用のこと。
抗酸化作用は、お肌に関していえば、活性酸素を消してくれる作用のことをいいます。活性酸素は、肌の老化の原因となる厄介者。皮膚の中でメラニンを作るメラノサイトを刺激してシミを作ったり、コラーゲンやエラスチンを生み出す繊維芽細胞を攻撃して、ハリやうるおいを保ちにくくしてしまいます。活性酸素を消すことで、シミやたるみを防ぐのが抗酸化作用です。
エイジングケア化粧品は、ほかにも、ハリやうるおいなどに効果的な作用を持つ成分を含んでいます。
では、具体的に成分を見ていきましょう。
エイジングケア3大成分の特性
エイジングケア化粧品に使われる多くの成分のうち、
- ナイアシン(ビタミンB3)
- レチノール(ビタミンA)
- ビタミンC
は、“エイジングケア3大成分”といっても過言ではないほど、重要な成分です。
それぞれどのような成分なのかをご紹介します。
ナイアシン(ビタミンB3)
「ナイアシン」は、ビタミンB群に分類される水溶性ビタミンの一種。一般には「ニコチン酸(ナイアシン)」と「ニコチン酸アミノ(ナイアシンアミド)」を総称してナイアシンと呼んでいます。
ナイアシンには、肌の代謝を促すセラミドの生成を促進して、うるおいをアップする、コラーゲンの生成を促しハリのある肌になるといった美容効果があります。
ただし、一度に多量に摂取すると、皮膚に赤みやかゆみをもたらす<ナイアシンフラッシュ>という現象が起こります。しかし、通常は一過性のもので、健康を大きく損ねるものではないようです。
ナイアシンの中でも特に、「ニコチン酸アミノ(ナイアシンアミド)」は、以下のような効果があるといわれています。
- 肌バリア機能を高める
セラミドとタンパク質を増やし、表皮から失われる水分量を減らしてくれます。
- シミを目立たなくする
メラニン色素の生成を抑えるので、シミが目立ちにくくなります。
- 皮脂の量を調整し、肌の質感を良く見せる
皮脂の分泌量を減らします。このため、毛穴が小さくなりやすく、ニキビも改善しやすくなります。
- 日焼けを抑える
抗炎症薬のような働きで、日光による肌の赤みを減らします。
さらに、ナイアシンフラッシュも起こりにくいことが分かっています。
レチノール(ビタミンA)
ビタミンA誘導体である「レチノール」。化粧品には「パルミチン酸レチノール」や「酢酸レチノール」などの化合物として含まれ、淡黄色をしています。
レチノールは、表皮の基底層に達すると、「レチナール」という物質を経て「レチノイン酸」に変わります。
レチノイン酸は、角質の代謝を促し、ターンオーバーを活性化させるため、くすみの予防効果があります。また、繊維芽細胞に働きかけて、コラーゲンやエラスチンの生成を促し、皮脂の分泌量の調整をする効果もあります。このため、抗シワ作用や、たるみの改善、ニキビや毛穴の状態を良くする効果もあります。
油溶性のため、美容液やクリームに配合されている場合が多いようです。
デメリットとしては、肌のピリピリ感、赤み、皮がむけるなど、刺激が強いことです。また、紫外線の影響も受けやすくなるため、しっかりとUV対策が必要です。
ビタミンC
「ビタミンC」は、免疫力を高める、貧血を予防する、ストレスに対抗するホルモンを生成するなど、健康維持に欠かせない栄養素ですが、そのほかにも複数の美容効果があります。
- 肌のハリを保ち、シワやたるみを予防する
コラーゲンの合成を活性化するため、細胞同士がしっかりとくっついて、肌のハリを保つことができます。
- シミ、ソバカスの予防
シミやソバカスの原因となる、メラニン色素の合成を抑えてくれます。
- ターンオーバーを正常化する
肌が生まれ変わる過程である、ターンオーバーを正常化させます。ターンオーバーでは、古くなった角質とともに、メラニン色素も排出されます。
- 抗酸化作用で肌のトラブルを予防する
肌の各種成分の酸化によって起こる、数々のトラブルを予防します。
何かと肌に良いビタミンCですが、直接、肌に塗っても吸収されません。そこで、化粧品の場合は、肌に浸透しやすく浸透してからビタミンCに変化する「ビタミンC誘導体」という物質が配合されています。
ビタミンC誘導体には、「水溶性ビタミンC誘導体」「油溶性ビタミンC誘導体」「両親媒性ビタミンC誘導体(APPS)」の3種類があります。
水溶性ビタミンC誘導体は、角層まで素早く浸透するというメリットがあります。デメリットは浸透力が弱く、効果の持続力が低いことと、不安定で成分が劣化しやすいこと、肌に刺激を感じたり乾燥しやすいことが挙げられます。
油溶性ビタミンC誘導体は、角層の奥まで浸透しやすく、安定性が高いため、効果が持続するのがメリット。デメリットは、浸透するのに時間がかかり、ベタつきやすいことです。
両親媒性ビタミンC誘導体(APPS)は、水溶性と油溶性の両方のメリットを併せ持つように開発された新しい成分で、浸透力が高く、短時間で浸透するため、肌なじみも良いのです。
特に浸透力は、従来の水溶性ビタミンC誘導体の100倍もあるといわれています。デメリットは、不安定で劣化しやすく、高価なことです。
まとめ
抗シワ作用や抗酸化作用を含んだ、エイジングケア化粧品。さまざまな成分の中でも、ナイアシン、レチノール、ビタミンCは、いろいろな働きによって、肌の加齢を抑えてくれます。
どの成分にも、メリットだけでなくデメリットもありますが、正しく理解した上で普段のお手入れに取り入れて、年齢肌の悩みを解消していきたいものですね。